【企画プログラム】
特別講演1 「昆虫のストレス順応性誘導機構に関する研究」
早川洋一 先生(佐賀大学農学部・教授)
数億年前から現在に至るまで、地上の覇者として種数・個体数とも群を抜く生態的地位を維持してきた昆虫類の主要な生存戦略とは何か?合理的に構築された生体防御系や旺盛かつ柔軟な生殖能力が大きく寄与することは間違いありません。ただ、昆虫の優れた環境適応能力、その主軸を成すストレス順応性も大変重要な一生理的能力といえます。今回は、昆虫のストレス順応性誘導機構に関する私たちの最近の研究についてご紹介します。
Web site:http://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.fd2bd757141e1d0b59c123490551be02.html
特別講演2 「共生、寄生、社会性:自己・非自己認識の論理と峻別の基礎」
深津武馬 先生(産業技術総合研究所・主席研究員)
昆虫類は陸上生態系の中核をなす生物群で、その大部分は恒常的に微生物を体内に保有しています。このような「内部共生」においては、きわめて高度な相互作用や依存関係がみられ、しばしば新しい生物機能が創出されます。共生微生物と宿主昆虫がほとんど一体化して、1つの生物のような複合体を構築する場合も少なくありません。共生関係からどのような新しい生物機能や現象があらわれるのか?共生することにより,いかにして異なる生物のゲノムや機能が統合されて1つの生命システムを構築するまでに至るのか?共に生きることの意義と代償はどのようなものか?個と個、自己と非自己が融け合うときになにが起こるのか?今回は特に生体防御や自然免疫に関わる生理機能に焦点をあて、共生や社会性におけるさまざまな環境適応の進化についてご紹介します。
Web site:https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/GLeader.html
教育講演:「自律神経を整え免疫力を高める音楽療法」(仮題)
和合治久 先生(埼玉医科大学短期大学・名誉教授)
現代社会は自律神経のバランスが崩れ、心身を活発にする交感神経が優位に作動しています。この結果、生活習慣病や免疫力低下による病気が生じています。本講演では、副交感神経を刺激する有効な音楽を活用すると、バランスを失った自律神経が正常化すると同時に、免疫学的にも体表粘膜面の生体防御物質の増強やウイルスやがんを攻撃するリンパ球機能を高めることができることをお話します。安全で副作用のない持続可能な音楽療法は心と体、そして脳をリラックスさせ、ストレスで引き起こされる病気を予防したり未病を改善することができるため、日々の生活の中で健康維持あるいは健康増進に役立つものと期待されます。
Web site:http://www.wagoh.jp/
シンポジウム1「下等脊椎動物のゲノム編集:比較免疫学への活用に向けて」
オーガナイザー 中尾実樹 先生(九州大学大学院農学研究院・ 教授)
近年、様々な下等脊椎動物の全ゲノム情報が蓄積しつつあり、ゲノム編集は免疫関連遺伝子の機能を逆遺伝学的なアプローチで解明する、強力な方法論として期待されます。本シンポジウムでは、魚類を中心とした下等脊椎動物を用いたゲノム編集技術の現在、その比較免疫学への応用、そして今後の展望を議論いたします。
シンポジウム2「活性酸素/活性イオウと生体防御」
オーガナイザー 住本英樹 先生(九州大学大学院医学研究院・生化学 教授)
活性酸素(スーパーオキシドや過酸化水素)および活性イオウ(システインパースルフィド等)が、生体機能の調節/生体防御に重要なことが次々と明らかになってきました。その最前線の様子を紹介いたします。
【懇親会】9月5日(木)18:00開始予定
講演会場から貸し切りバスで糸島半島の海岸沿いにある魚料理屋へ移動します。玄界灘で取れる新鮮な魚料理をご堪能いただきたいと存じます。